『第48回日本理学療法学術大会』での『痛み研究』

今年の5月24日~26日に、
名古屋国際会議場で、

『第48回日本理学療法学術大会』が行われました(写真1)。

 

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写真1:名古屋国際会議場(大会参加受付ブース)

 
 
これは(公社)日本理学療法士協会が主催する、
年に1回の理学療法の全国学会です。
 
 
全国からたくさんの理学療法士が集いました。
 
 
私も参加してきました。
 
 
このような学会では、
最新の知見、情報を
得ることが出来ます。
 
 
今回は、
この学会で発表された演題の中で、
『痛み』に関するものを
いくつかピックアップしてご紹介します。(^^)/
 
 
内容は専門的な部分もありますので、
【私の補足説明】を読んで頂くだけでも
良いと思います。(^^)
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
①運動制御課題による疼痛抑制効果と前頭前野の関与
 
【実験内容】
開眼座位にて3分間の右手の運動を、
制御運動群(2個の木球を手掌面上にて反時計回りに回転させる運動)と
単純運動群(握力計を最大握力の30%強度で6秒間のグリップ保持と4秒間の安静を反復させる運動)とに分けて行わせ、
両群の圧痛閾値、前頭前野近傍の脳波(α波)、主観的疲労感(修正Borg scale)を測定した。
 
 
【実験結果】
その結果、
圧痛閾値は、
制御運動群で終了直後に有意に上昇、
単純運動群では変化なし、
群間比較では
制御運動群が終了直後に有意に高値であった。
 
 
α波は、
制御運動群で運動中に有意に上昇、
単純運動群では変化なし、
群間比較では
制御運動群が運動中に有意に高値であった。
 
 
修正Borg scaleは、
両群ともに有意に上昇、
群間比較では
単純運動群で終了直後に有意に高値であった。
 
 
【結論】
このように制御運動でのみ
疼痛抑制効果と前頭前野の賦活を認めた。
 
 
注意や集中、
運動制御を必要とする運動は、
感覚情報のフィードバックとプログラム修正を行い、
知覚-運動連関システムを作動させることで、
情報の統合や運動学習に関与する前頭前野が賦活し、
疼痛抑制系が作動した可能性が考えられる。
 
 
つまり、
前頭前野を賦活させるような制御運動により
疼痛抑制効果が得られる可能性があると考えられる。
 
 
【私の補足説明】
この実験結果から、
注意力や集中力を必要とする
頭を使う運動を行った方が、
単純な運動を繰り返し行うより、
痛みを和らげる効果がありそうです。
 
 
ただ、
この効果は、
運動終了後にも続くことはなさそうです
(実験では終了5分以内に効果消失)。
 
 
そのメカニズムは、
痛みを和らげるときに活動する
脳の前頭前野という部分が、
頭を使う運動を行ったときに
活性化されるからだと考えられます。
 
 
②低負荷運動による疼痛抑制効果の検証-運動部位による比較-
 
【実験内容】
2~3METs相当の運動を20分間、
全身運動群(トレッドミルによる歩行(速度4.0km/h))、
下肢運動群(自転車エルゴメーター(負荷20W、回転数60rpm))、
上肢運動群(アームエルゴメーター(負荷20W、回転数60rpm))に分けて行わせ、
運動の直接的影響が少ない部位の
圧痛閾値、熱痛覚閾値、心拍変動を測定した。
 
 
【実験結果】
その結果、
圧痛閾値は、
全身運動群で終了直後と15分後に、
下肢運動群と上肢運動群で終了直後に有意に上昇し、
終了直後は下肢運動群が上肢運動群より高値、
15分後は全身運動群が下肢運動群より高値であった。
 
 
熱痛覚閾値は、
全身運動群は終了直後と15分後に有意に上昇、
下肢運動群と上肢運動群は変化なし、
群間に差はなかった。
 
 
心拍数は、
3群とも運動中に有意に上昇し、
全身運動群は運動中に下肢運動群と上肢運動群より低値、
15分後に下肢運動群より低値であった。
 
 
【結論】
このように全ての運動で
主動作部とは異なる部位の圧痛閾値が上昇したことから、
運動部位に関わらず広汎性の疼痛抑制効果が得られた。
 
 
また、
全身運動では
熱痛覚閾値の上昇とその持続効果が認められたことから、
全身性の運動の方が局所の運動よりも
多様な受容器に対して
持続的な疼痛抑制効果が得られると考えられる。
 
 
別の見方をすれば、
下肢や上肢のみの運動であっても
広汎性の疼痛抑制効果を得られるので、
罹患部の運動を直接行えない時期や症例であっても、
遠隔部の運動が疼痛マネジメントとして
幅広く活用できる可能性があると考えられる。
 
 
【私の補足説明】
全身運動をすると、
痛みを和らげることができそうです。
 
 
そして、
その効果は、
運動を終了してからも、
しばらく(実験では15分)は持続しそうです。
 
 
また、
痛みのない部分だけを運動させても、
痛みを和らげることができそうです。
 
 
ただ、
その効果は、
運動を終了した直後だけにみられ、
長続きはしなさそうです。
 
 
③侵害的または非侵害的熱刺激による疼痛抑制効果の比較検討
 
【実験内容】
左前腕に、
侵害的熱刺激(46.5℃の温水に1分間浸した群:HW群)、
非侵害熱刺激(ホットパックにより皮膚温度がpeak値に達してから(5分以内)さらに1分間加温した群:HP-1群、
ホットパックにより20分間加温した群:HP-20群)を与える3つの群に分け、
右頬部にNRS(numerical rating scale)6~7程度の熱刺激を
7秒間加えたときの疼痛強度をNRSにて測定した。
 
 
【実験結果】
その結果、
HW群では、刺激中、刺激終了直後に、
HP-20群では、刺激終了直後、刺激終了10分後に
疼痛強度が有意に低下した。
 
 
HP-1群では
疼痛強度の有意な変化はみられなかった。
 
 
3群間の比較では、
HW群の刺激中の疼痛強度が他群と比較して有意に低値を示し、
HP-20群の刺激終了直後の疼痛強度がHP-1群と比較して有意に低値を示した。
 
 
【結論】
このように、
HW群の結果から、
侵害的熱刺激は広汎な疼痛抑制効果を有するが、
持続性に乏しいことが明らかとなった。
 
 
一方、HP-1群、HP-20群の結果から、
非侵害的熱刺激でも
長時間の介入により広汎な疼痛抑制効果が期待でき、
さらに、
その効果の持続性を有することが示された。
 
 
この結果から、
罹患部に直接アプローチできない症例であっても、
遠隔部の非侵害的熱刺激によって
疼痛を抑制できる可能性が示された。
 
 
【私の補足説明】
痛みとは関係のない体の一部を、
長い時間(実験では20分間)温めるだけでも、
痛みを和らげることができそうです。
 
 
そして、
その効果は、
温めを終了してからも、
しばらく(実験では10分)は持続しそうです。
 
 
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以上、3つの演題をご紹介しました。
 
 
痛みにお困りの方は、
これらの実験で確かめられた、
『痛みを和らげる方法』を利用してみるのも
良いと思います。(^^)/
 
 
※この記事は、
 『Feuno』オフィシャルブログ
 「股関節、腰、膝の痛みで、人生バラ色!」に
 2013年7月29日に投稿したものです
 
 
股関節、腰、膝の痛みセラピー
セラピーサロン『Feuno(フーノ)』名古屋
ふなこしのりひろ