痛みは「心」や「気分」でがらりと変わる

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写真1:股関節のレントゲン写真

この写真1は、私が病院勤務時代に担当していた患者様の、股関節のレントゲン写真です。

当時70代の女性で、3年前に右の人工股関節全置換術(THA)を受けましたが、痛みが再発しました。

診察を受けたところ、人工股関節の感染症と診断され、感染箇所を洗浄する手術を受けました。

さらに、人工股関節の周囲の骨が溶けていることも判明したため、骨セメント(骨の接着剤:10分ほどで固まる)を入れて、股関節を補強しました。

手術後、1ヶ月ほどしてから歩く練習を始めました。

練習を始めた当初は、手術をした股関節の痛みは全くありませんでした。

杖で50m以上も楽に歩けていました。

しかし、練習を始めてから1週間ほどしたころ、手術した方の右の殿部(お尻)に痛みが出始めました。

最初は歩くときだけに痛みが出ていたのですが、そのうち座っているだけでも痛みがでるようになりました。

さらに、右の殿部だけでなく、右のすねの外側や左の殿部にも痛みが出るようになりました。

このため、歩く練習は出来なくなってしまいました。

しかし、よくよくこの方の話を聞いていると、痛くないときもあるとのことでした。

リハビリでも痛みが軽いときもあり、そのときは歩く練習も少しはできました。

つまり、痛みが強いときもあれば、弱いときもあり、その差が激しい状況です。

身体的には大きな変化がないのに、痛みは大きな変化がある。

私は、この痛みには“心理的なもの”が関わっていそうだと感じました。

そして、この方にいろいろなことを話して頂きました。

すると、様々な不安や不満を抱えていることを知りました。

「“骨セメント”というものを入れているみたいだけど、大丈夫かしら?セメントが入っているんでしょ?レントゲン写真で、あんなものが入っているのを見て、何だか恐ろしくなっちゃいました。」

「主人と2人暮らしで、痛みがあるまま退院すると主人に迷惑をかけてしまう。」

「病室の温度が、他の患者さんに合わせてあるので、暑かったり寒かったりするんだけど、そんなこと言えないし。」

などとおっしゃっていました。

すると、ある日、「耳鼻科の診察で、耳の中の水を抜いてもらったら、お尻とかの痛みが全くなくなりました!」と言われました。

この方は、音が少しこもって聞こえていたので、院内の耳鼻科を受診したとのことです。

杖で歩いてみると、50m以上楽に歩けました。

階段も初めて昇り降りすることができました。

耳の中に水があることと、殿部が痛いことは、身体的にはほとんど関係ないと思います。

良い出来事をきっかけに、痛みがなくなったのではないかと思います。

つまり、この方の痛みは、心理的な要因が関係していたのでしょう。

みなさん、この方のように、痛みは身体的な要因だけではありません。

心配、不安、不満、ネガティブな感情は、痛みを強くします。

レントゲン写真などの検査結果、医療従事者の不用意な発言や説明不足で、大きな不安を抱き、それが痛みに繋がってしまうことは大いにあります。

股関節、腰、膝の長引く痛みを自分で治すために、痛みにはこのような特徴もあることを、是非知っておいて下さいね。


股関節、腰、膝の痛みセラピー
セラピーサロン『Feuno(フーノ)』名古屋
ふなこしのりひろ