【人は回転しながら歩いている?ロッカー機構という驚きの仕掛け】歩き方のしくみ⑥
記事【最初の一歩はどうやって踏み出す?バランスを崩しちゃえ!】歩き方のしくみ⑤でお話ししたように、歩行において、一歩目を完了して2歩目へ移るとき、一歩目で作った身体を前進させる力、すなわち、重力によって身体が落下する力を、できるだけ損なわないようにしなければいけません。
これを実現するために、私たちの脚には、巧妙な仕掛けが備わっています。
その仕掛けとは、「ロッカー機構」というものです。
目次
ロッカー機構とは
図1:ロッカー(揺りてこ)機構
これは、脚を1本の棒とみなして、その棒を回転させることで、身体を前進させる力(推進力)を損なわないようにするものです(図1)。
ロッカーとは、揺り椅子の下にある揺り軸のことです。
図2:揺り軸
ロッカー機構とは、揺り椅子が揺り軸によって転がるような仕組みのことです。
実は私たちは、この仕組みを使いながら歩いているのです。
次から、実際にどうのようにしてロッカー機構を使いながら歩いているのか、説明していきます。
歩行でのロッカー機構
図1:ロッカー(揺りてこ)機構
まず、一歩目で脚が斜め前下方、地面に向かって落下していきます(図1-a)。
脚が地面に着くと、着いたところを支点として脚が前方へ回転します(図1-b)。
ここで、地面へ落下する力が、前方へ回転する力へ変換されます。
脚が前方へ回転することにより、脚の上に載っている身体が前方へ前進することとなります(図1-c)。
このように私たちは、重力によって身体が落下する力を、回転する力に変換しながら歩いているのです。
さらに私たちは、このロッカー機構を利用して、歩くスピードの加速も行っています。
様々なロッカー機構
この落下する力から回転する力への変換には、いくつかの段階があります。
というのも、このロッカー機構が行われる脚の場所が、次々移動していくからです。
それらは順番に、次のように呼ばれています。
①ヒールロッカー
②アンクルロッカー
③フォアフットロッカー
④トゥロッカー
ヒールとは「踵」、アンクルとは「足首」、フォアフットとは「前足部(足の指のつけ根)」、トゥとは「足の指」のことです。
これらの部位は、ロッカー機構の中で「支点」となるところです。
私たちが歩いているときは、この支点が、「踵→足首→足の指のつけ根→足の指」の順で移動します。
つまり、私たちが歩くときは、ロッカー機構の支点を次々と変えていって、脚を回転させながら歩いているのです。
ロッカー機構の仕掛けは、正しい歩き方を知るためには、絶対に理解しておかなければならないものです。
次回からは、それぞれのロッカー機構について解説していきます。(^^)/
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https://feuno.com/category/gait-posture-mechanism
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