【股関節痛の原因の最有力候補、筋肉のこわばり4つの原因】痛みのしくみ⑧
記事【股関節痛を治すには自然治癒力向上と血流改善が非常に重要】痛みのしくみ⑥で、次のようにお話ししました。
股関節痛の痛みの元の一つである化学的刺激を解消すれば、すなわち発痛物質を減らしていけば、股関節痛は治っていく。
この発痛物質は、細胞が酸素不足や栄養不足のときにも作り出され、それらの原因として重要なのが血流不全である。
そして、その血流不全の原因として重要なのは筋肉のこわばりだ。筋肉のこわばりとは、筋肉に力が入り続けていたりして硬くなっている状態のことで、肩こりのような状態のこと。
このことは、つまり、筋肉のこわばりが股関節痛の原因の一つである、ということになります。で、私は、原因の一つと言うよりも、筋肉のこわばりが股関節痛の原因の大本命、最有力候補ではないかと感じています。
私はこれまで、数多くの股関節痛の方の身体を診させて頂いています。その方々のほとんどは、筋肉のこわばりを緩める施術をさせて頂くと、筋肉が軟らかくなって股関節痛が軽くなるのです。
私自身の股関節痛も、筋肉のこわばりを緩めることを目的として痛み改善に取り組んでいき、最終的に治ってしまいました。
なので、筋肉のこわばりを解消していくことが、股関節痛を治していくための最初の目標になるのではと考えています。
で、筋肉のこわばりを解消させるには、筋肉をこわばらせる原因を知る必要があります。その原因を解決していけば、筋肉のこわばりは解消されていき、股関節痛も治っていくようになると思います。
では早速、筋肉のこわばりの原因は何でしょうか?それは主に次の4つです。
- 侵害刺激による痛み
- 悪い姿勢や歩き方
- こわばりやすい悪い体質
- ストレス
それぞれについて、お話ししていきます。
目次
1.侵害刺激による痛み
ふと足の裏で画鋲を踏んでしまったとき、反射的に足が引っ込んだという経験は、ないでしょうか?ふと熱いやかんに手が触れてしまったとき、反射的に手が引っ込んだという経験は、ないでしょうか?
この反射は、私たちの身体に生まれながらにして備わっている、屈曲反射というものです(上図)。詳しい説明は省きますが、私たちの身体は、痛みを引き起こす侵害刺激(痛み刺激)が加わると、その刺激から逃れようと自動的に筋肉に力が入り、脚や腕などが動くのです。
足や手が引っ込むということは、脚や腕の関節が曲がって縮むということです。関節が曲がる動きのことを、屈曲といいます。したがって、この反射は、屈曲反射と呼ばれています。この屈曲反射には、次のような特徴があります。
- 侵害刺激の強度が強いほど、たくさんの筋肉に力が入る
- 筋肉に力が入るという反応は、一過性ではなくしばらく持続する
- 伸張反射の感度が高くなり、わずかな伸張刺激でも筋肉に力が入るようになる
伸張反射とは、筋肉が引き伸ばされると、自動的にその筋肉に力が入るというものです。例えば、椅子に座って脚を組んで、上の脚の膝の少し下を叩くと、反射的に膝が伸びる現象は、伸張反射によるものです。ちなみにこれは、脚気の検査として有名です。
以上のことから、侵害刺激による痛みがあると筋肉に力が入りやすくなり、筋肉がこわばる原因になる、ということです。
2.悪い姿勢や歩き方
身体にとって良い姿勢とは、その姿勢をとるために必要な筋肉を、必要最小限の筋力で、まんべんなく使っている状態です。歩き方についても同じことで、必要最小限の筋力で歩いている状態です。
身体にとって悪い姿勢とはその逆で、その姿勢をとるために、一部の筋肉、もしくはたくさんの筋肉に、不必要に過剰な力を入れている状態です。歩き方についても同じことで、一部の筋肉、もしくはたくさんの筋肉に、不必要に過剰な力を入れて歩いている状態です。
例えば、猫背は悪い姿勢の典型ですが、これは背中や腰などの一部の筋肉に、過剰に力が入ってしまっている状態です。
つまり、悪い姿勢や歩き方は、筋肉に過剰な力が入っている状態ということであり、筋肉がこわばる原因になる、ということです。
3.こわばりやすい悪い体質
悪い体質とは、身体の細胞が健全に活動できないような体内環境のことです。悪い体質として思い浮かぶのは、血液がドロドロの状態などではないでしょうか。
このような悪い体質の状態ですと、筋肉の細胞も健全な活動ができなくなり、誤作動として筋肉に力が入ってしまったり、力が抜けにくくなってしまうことがあります。
したがって、体質が悪いと筋肉に力が入りやすくなり、筋肉がこわばる原因となる、ということです。
4.ストレス
私たちはストレスにさらされると、次のように身体に何らかの反応が出ます。
- 消化器系の反応:胃痛、便秘、下痢など
- 呼吸器系の反応:咳、鼻炎など
- 循環器系の反応:高血圧、不整脈、動悸など
- 皮膚の反応:蕁麻疹、かゆみ、アトピーなど
このようなストレスによる身体の反応は、運動器系にも現れます。
- 運動器系の反応:腰痛、肩こり、しびれなど
この運動器系の反応の実態は、筋肉のこわばりなのです。つまり、ストレスによって筋肉がこわばり、その結果として腰痛や肩こり、しびれが出る、ということなのです。
ストレスがあると緊張して身構えて体が固くなるというのは、容易に想像できると思います。ストレスがあるのに力が抜けてダラーっとしているというのは、想像しにくいと思います。
したがって、ストレスがあると筋肉に力が入りやすくなり、筋肉がこわばる原因となる、ということです。
まとめ
以上、筋肉のこわばりの原因について、お話ししました。おさらいしますが、筋肉のこわばりの原因は、主に次の4つです。
- 侵害刺激による痛み
- 悪い姿勢や歩き方
- こわばりやすい悪い体質
- ストレス
したがって、これらを解決していけば、筋肉のこわばりは解消していき、股関節痛も治っていくことになります。
すべきこととしては、痛みが出るようなことは避ける、痛みが楽になるようなことをする、痛みを長引かせない、良い姿勢や歩き方を実践する、体質を良くするために生活習慣を良くする、ストレスを解決する、といったことになります。
最初にお話ししましたが、筋肉のこわばりは股関節痛の原因の大本命、最有力候補だと思っています。なので、関節の変形があったとしても、筋肉のこわばりにもアプローチして下さいね。(^^)/
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