【股関節痛を治すには自然治癒力向上と血流改善が非常に重要】痛みのしくみ⑥
記事【股関節痛が出る基本的なメカニズム、3つの刺激と3本の神経】痛みのしくみ①で、股関節痛の基本的な元は、機械的刺激、熱刺激、化学的刺激の3つだけとお話ししました。
ということは、神経や脳に異常がない場合、これら3つの痛みの元がなくなれば、股関節痛は基本的に消えることになります。ここで3つの元について、簡単におさらいします。
- 機械的刺激:つねったり、叩いたり、引っ張ったり、切ったりといった、物理的な変形を加える刺激
- 熱刺激:43℃以上の高温や、15℃以下の低温
- 化学的刺激:体内で作られる特定の化学物質(発痛物質と呼ばれている)のことで、身体の組織が損傷して炎症が起こっているとき、組織が酸素不足や栄養障害のときなどに作られる
で、これらの刺激がなくなれば、股関節痛は消えるのです。では、これらの刺激がなくなるようにするには、どうすればよいでしょうか?
機械的刺激と熱刺激については、その刺激から離れれば、刺激を受けずに済み、痛みは消えます。これらは、自分の意思で解消できる刺激です。
しかし、化学的刺激となる発痛物質は、体内で自動的に作られるものなので、自分の意思では解消することができません。しかし、発痛物質を減らして、化学的刺激を解消しやすくすることは可能です。そのポイントは、次の2つです。
- 自然治癒力を高める
- 血流を良くする
それぞれについて説明していきます。
目次
1.自然治癒力を高める
発痛物質は、身体が傷ついたりして炎症が起こっているときに作り出されます。その炎症を治めるのは、自分自身に備わっている自然治癒力です。
この自然治癒力が低いと、炎症はなかなか治まらないので、発痛物質は出続けて、股関節痛もなかなか消えていきません。
反対に、自然治癒力が高いと、炎症は速やかに治まっていくので、発痛物質は速やかに消失していき、股関節痛も速やかに消えていきます。
自然治癒力を高める方法
自然治癒力を高めるにはどうすれば良いかというと、ずばり、細胞の機能を高めていくことをすれば良いのです。簡単に言えば、健康になるとか、生活習慣を良くする、ということです。
食事、運動、睡眠、ストレス、姿勢や歩き方などを、健康にとって良いものにし、細胞が100%以上の力を出せるようにしていくことが、自然治癒力を高めるということになります。
ちなみに、炎症については記事【炎症による股関節痛のメカニズムと治し方】痛みのしくみ⑨で詳しくお話ししています。
2.血流を良くする
発痛物質は、炎症が起こっているときだけではなく、身体の細胞が酸素不足や栄養障害のときなどにも作り出されます。
この酸素不足や栄養障害に陥る原因は様々ありますが、中でも重要なものは、血流不全です。血流が悪いと、細胞に必要な酸素や栄養素が届きにくくなってしまい、酸素不足や栄養障害に陥りやすくなります。
ですので、血流を良くすると、酸素や栄養素が細胞に届きやすくなるので、発痛物質の産生を抑えることができるようになり、股関節痛も消えていきやすくなるのです。では、血流不全の原因は、何でしょうか?
2-1.筋肉のこわばり
血流不全に陥る原因は様々ありますが、中でも重要なものは、筋肉のこわばりです。筋肉のこわばりとは、筋肉に力が入り続けていたりして硬くなっている状態のことです。肩こりのような状態のことです。
筋肉の中や周囲には、たくさんの血管がありますが、その筋肉がこわばっていると、それらの血管を圧迫して潰してしまいます。すると、血管は細くなるので、その部分よりも先では血液が流れにくくなってしまいます。
そして、血流が悪くなってしまったところにある細胞は、酸素不足や栄養障害に陥り、発痛物質を作り出すのです。そして、股関節痛が出るのです。
で、身体のしくみとして実は、この股関節痛そのものが、さらに筋肉をこわばらせてしまうのです。
2-2.痛みの悪循環
なので、ひとたび筋肉のこわばりができると、発痛物質が出続けるという「痛みの悪循環」に、陥りやすくなってしまうのです。この「痛みの悪循環」を図に示すと、次のようになります。
筋肉のこわばりは、このような「痛みの悪循環」への引き金になるので、血流不全の原因として特に重要なものになります。
血流を良くする方法
血流を良くして「痛みの悪循環」を断ち切るにはどうすれば良いかというと、筋肉のこわばりが起らないよう無駄な力を使わない姿勢や歩き方を実践し、血流に関わる組織の細胞の機能を高めていくようにすれば良い、ということになります。
血流に関わる組織とは、直接的には心臓、血管、筋肉、脳、神経などで、それらの組織が健全に機能するために必要な組織としては、肺、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓など、といった感じで、実は全身ほとんどの組織が血流に関わっているのです。
なので、血流を良くするためにすべきこととは、全身の細胞の機能を高めることであり、自然治癒力を高める方法と全く同じになります。
ちなみに、筋肉のこわばりの原因については記事【股関節痛の原因の最有力候補、筋肉のこわばり4つの原因】痛みのしくみ⑧で、痛みの悪循環については記事【股関節痛が長引く痛みの悪循環の全貌】痛みのしくみ⑦で詳しくお話ししています。
まとめ
今回のお話しをまとめると、こんな感じです。
- 神経や脳に異常がない場合、機械的刺激、熱刺激、化学的刺激がなくなれば、股関節痛は基本的に消える
- 化学的刺激となる発痛物質は、体内で自動的に作られるものなので、自分の意思では解消することができない
- 自然治癒力を高め、血流を良くしていけば、化学的刺激を解消しやすくできる
- 血流不全の原因として非常に重要なものが筋肉のこわばりで、これによって痛みの悪循環に陥りやすくなる
- 自然治癒力を高め、血流を良くするためには、食事、運動、睡眠、ストレス、姿勢や歩き方などを、健康にとって良いものにし、細胞が100%以上の力を出せるようにし、筋肉がこわばらないようにする
ということで、股関節痛を治すためには、自然治癒力の向上と血流不全の改善が必要で、そのためには、細胞の機能を高めることと、筋肉のこわばりを解消させること、この2つが非常に重要ということです。(^^)/
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