【股関節、腰、膝の痛みの悪循環と、それを強化する3つの要因】痛みのしくみ⑦
この記事をご覧になっている方の多くは、股関節、腰、膝の“長引く”痛みに、悩まされているのではないかと思います。
“長引く”痛み、そう、痛みは長引くことがあるのです。
股関節、腰、膝の痛みは、いったん生じると、長引いてしまうことがあるのです。
その理由の一つに、「痛みの悪循環」に陥っている、ということが挙げられます。
記事【筋肉のこわばり4つの原因を解消し痛みを自分で治す】痛みのしくみ⑧でもお話ししていますが、私たちの体には、屈曲反射というしくみが備わっています。
1.屈曲反射による筋肉のこわばりが痛みの悪循環の入り口
ふと足の裏で画鋲を踏んでしまったとき、反射的に足が引っ込む。
ふと熱いやかんに手が触れてしまったとき、反射的に手が引っ込む。
この反応は、痛み刺激(侵害刺激)から逃避するための脊髄反射の一つで、これが屈曲反射です。
足が引っ込んだり、手が引っ込むというのは、脚や腕が動いた、ということです。
脚や腕を動かすのは、筋肉です。
脚や腕が動いたということは、そこにある筋肉に力が入った、ということです。
屈曲反射を要約すると、体に侵害刺激が加わると、筋肉に力が入る、ということです。
つまり、痛みがあると、筋肉に力が入って、筋肉がこわばる、ということです。
この筋肉のこわばりがきっかけとなって、「痛みの悪循環」に陥っていき、痛みが長引いていくのです。
2.筋肉のこわばりが血流を悪くする
筋肉のこわばりとは、筋肉に力が入って、筋肉が硬くなってしまっている状態です。
筋肉が硬くなっていると、筋肉の中やその周囲の圧力が高くなります。
すると、そこにある血管は、圧迫されて押し潰されて、細くなってしまいます。
その結果、そこの血流が悪くなり、そこの血流量が少なくなってしまいます。
3.酸素不足や乳酸蓄積によるアシドーシスと栄養不足が痛みを持続させる
血流量が少なくなると、その筋肉や周囲の組織に、酸素や栄養が十分に届かなくなってしまいます。
それらの細胞が、酸素不足や栄養障害に陥ってしまいます。
また、筋肉に力が入るということは、力を入れるためのエネルギーが必要になります。
筋肉がそのエネルギーを得る過程で、乳酸という物質が産生されます。
筋肉のこわばりは、筋肉に力を入れ続けている状態ですので、エネルギーが次々必要となり、乳酸がどんどん産生されます。
すると、体に乳酸が蓄積されていきます。
この乳酸の蓄積と酸素不足によって、こわばっている筋肉のあたりは、アシドーシスになってしまいます。アシドーシスとは、血液が酸性になってしまうことです。
このアシドーシスや栄養障害によって、こわばっている筋肉やその周辺の細胞から、ブラジキニンなどの発痛物質が産生されます。
その結果、新たな痛みが追加されてしまいます。
すると、その痛みによって筋肉のこわばりは強化され、発痛物質が産生され続け、痛みが取れなくなっていき、長引いていきます。
これが「痛みの悪循環」です。
さらに、この「痛みの悪循環」を強化する要因がいくつかあります。
4.痛みの悪循環を強化する3つの要因
私たちの体には交感神経という自律神経がありますが、この神経に刺激が伝わると、血管が収縮します。
血管が収縮すると血管は細くなり、血流量が減少してしまうので、「痛みの悪循環」を強化させてしまいます。
どのようなときに交感神経に刺激が伝わるかというと、活動しているとき、ストレスがあるとき、緊張しているときなどです。
痛みがあると、ストレスを感じたり、緊張したりしていることが、多いと思いますが、それらがさらに痛みを長引かせてしまうことになっているのです。
また、痛みがあるときは、その部分をかばって、姿勢や歩き方が悪くなります。
すると、一部の筋肉に負担が集中し、その筋肉がこわばっていきます。
その結果、痛みがあるところ以外にも、痛みがでるようになってしまいます。
さらに、痛みがあるときは、その部分をあまり動かさなくなります。
このような不活動な状態は、それ自体が痛みを発生させやすくしてしまい、痛みを長引かせてしまうことが、様々な研究で明らかになっています。
そして、その不活動な状態は、その部分の柔軟性を低下させ、関節の可動域を狭くしてしまったり、筋力を低下させてしまいます。いわゆる、関節拘縮や筋萎縮となってしまいます。
すると、姿勢や歩き方が悪くなり、先ほどお話ししたように、痛みがあるところ以外にも、痛みがでるようになってしまいます。
まとめ
股関節、腰、膝の痛みは、長引くことがあり、その理由の一つに「痛みの悪循環」があります。
それは次の機序で生じます。
股関節、腰、膝に痛みが出る
⇒そのあたりの筋肉がこわばる
⇒そのあたりの血流が悪くなる
⇒そのあたりの細胞が、酸素不足や乳酸蓄積によるアシドーシスと、栄養障害により、発痛物質を産生する
⇒痛みが強化される
そして、次の要因で「痛みの悪循環」が強化されます。
・ストレスや緊張
・悪い姿勢や歩き方
・患部の不活動状態
「痛みの悪循環」の全体像を図にすると、以下のようになります。この図には、筋肉のこわばりの原因も書き加えてあります(記事【筋肉のこわばり4つの原因を解消し痛みを自分で治す】痛みのしくみ⑧参照)。
以上のように、いったん股関節、腰、膝の痛みが出ると、「痛みの悪循環」に陥って、痛みが長引くことがあります。
この痛みを解決させるには、この悪循環を断ち切らなければなりません。
この「痛みの悪循環」による長引く痛みを、最速最短で自分で治すには、健康に対する総合力が必要になってきます。
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