【股関節痛が出る基本的なメカニズム、3つの刺激と3本の神経】痛みのしくみ①
股関節痛に悩まされたとき、股関節痛を自分で治したいとき、誰しも次のように思うのではないでしょうか?「この痛みの原因は、何なのか?」と。
私が股関節痛で手術宣告を受けたとき、まさにそうでした。「原因が分かれば治すことが出来る!」、そういう気持ちで、専門書やインターネットで痛みについて調べまくりました。
そして私が調べたことは、股関節痛の一般的な原因についてではなく、痛みそのもののメカニズムについてです。そもそも痛みって、どのようにして発生するのか、といったことです。
根本をおさえれば全てに応用が効く、って常日頃から思っているので、痛みについてもそのアプローチで調べていきました。
今回の記事から始まる「痛みのしくみ」シリーズは、私が自分の股関節痛を治すために調べまくった知識を、なるべく分かりやすく整理したものです。股関節痛を治すために、是非ご活用下さいね。(^^)/
で、今回の記事は、痛みの基本的なメカニズムについてです。
目次
1.基本的なメカニズムはどの痛みでも同じ
痛みには、股関節痛だけではなく、腰痛や膝痛、頭痛や腹痛など、様々なものがありますが、どれも別々のメカニズムで痛みが出るのでしょうか?
実は、基本的なメカニズムはどの痛みでも同じです。痛みを感知している場所が違うだけです。
なので、このメカニズムを知ってしまえば、あらゆる痛みに対して応用を効かせることが出来るようになるのです。
2.痛みが出るまでの基本的な流れ
まず、痛みは、どのようにして出るのでしょうか??最もシンプルに説明すると、次のような感じです。
「身体が傷つき、それを脳が感じることで、痛みが出る」
これを主にコントロールしているのは、神経です。この痛みが出る流れを、もう少し詳しく説明します。
始まりは痛みセンサー、終わりは大脳
私たちの身体には、身体の損傷をキャッチするセンサー(痛みセンサー)が、皮膚や筋肉、内臓や血管など、ありとあらゆるところに備わっています。
この痛みセンサーは、神経の片方の先端に付いてます。神経のもう片方の先端は、脳の大脳へ繋がっています。
身体の損傷がこの痛みセンサーによってキャッチされると、その情報が電気信号に変換されて、その電気信号が神経によって大脳へ伝えられていきます。
そして、その電気信号が大脳にたどり着くと、「痛い!」という感覚が出ることになるのです。整理すると、こんな感じ。
身体の損傷⇒痛みセンサー⇒神経⇒大脳⇒「痛い!」
これが痛みのメカニズムの基本中の基本です。どんな痛みでも、基本的にこのメカニズムで痛みが出るのです。ちなみに、痛みセンサーは、専門的には侵害受容器と呼ばれています。
このように痛みが出るメカニズムは、とてもシンプルです。ただ実際は、もう少し複雑なしくみになっています。
3.たった3つの痛みの元
痛みセンサーは、キャッチできる刺激(痛み刺激)の種類が決まっています。それは次の3種類です。
- 機械的刺激
- 熱刺激
- 化学的刺激
機械的刺激とは、つねったり、叩いたり、引っ張ったり、切ったりといった、物理的な変形を加える刺激です。
熱刺激とは、43℃以上の高温や、15℃以下の低温のことです。身体がこの温度に触れると、「熱い」とか「冷たい」と感じるだけでなく、「痛い」と感じることが分かっています。
化学的刺激とは、体内で作られる特定の化学物質のことです。この化学物質は、身体の組織が損傷して炎症が起こっているとき、組織が酸素不足や栄養障害のときなどに作られます。
これらの痛み刺激が神経によって大脳に伝えられて、痛みが出ることになります。ちなみに、痛み刺激は、専門的には侵害刺激と呼ばれています。
ということで、この3種類の痛み刺激が、痛みの基本的な3つの元ということになります。これまでのお話しを整理すると、こんな感じ。
痛み刺激(機械的、熱、科学的)⇒痛みセンサー⇒神経⇒大脳⇒「痛い!」
4.3本の神経で痛みを伝える
出典:Michael Schünke 他:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,医学書院.2007.
痛み刺激は神経によって大脳に伝えられますが、一本の神経だけで伝えられているのではありません。何本かの神経によってバトンタッチされながら、大脳に伝えられていきます。その神経は、基本的に3本です。それぞれ次のように呼ばれています。
- 一次侵害受容ニューロン
- 二次侵害受容ニューロン
- 三次侵害受容ニューロン
ニューロンとは、英語で神経細胞のことで、neuronと書きます。
一次侵害受容ニューロンは、先端に痛みセンサーが付いている神経で、もう片方の先端は脊髄まで伸びています。
二次侵害受容ニューロンは、脊髄から脳の間脳にある視床まで伸びています。脊髄で一次侵害受容ニューロンと接続しています。
三次侵害受容ニューロンは、視床から大脳まで伸びています。視床で二次侵害受容ニューロンと接続しています。
つまり、痛み刺激を大脳に伝える神経は、脊髄と視床でバトンタッチしているのです。以上のお話しを整理すると、こんな感じ。
痛み刺激(機械的、熱、科学的)⇒痛みセンサー⇒神経(一次⇒二次⇒三次)⇒大脳⇒「痛い!」
まとめ
今回のお話しをまとめると、こんな感じです。
- どの痛みでも、痛みが出る基本的なメカニズムは同じ
- 痛みは、痛み刺激が痛みセンサーにキャッチされ、神経によって大脳に伝わることで出る
- 機械的刺激、熱刺激、化学的刺激の3種類の痛み刺激が、基本的な痛みの元
- 痛み刺激を大脳に伝える神経は基本的に3本で、脊髄と視床で痛み刺激をバトンタッチしている
- 痛み刺激(機械的、熱、科学的)⇒痛みセンサー⇒神経(一次⇒二次⇒三次)⇒大脳⇒「痛い!」
ということで、痛みの基本的なメカニズムは、3つの刺激、3本の神経、大脳で構成されていることが分かります。これを知っていれば、股関節痛がなぜ出ているのか、その理由を理解できるようになっていきますよ。(^^)/
痛みの発生メカニズムをもっと詳しく知りたい方は、記事【痛みの神経と脳、一次痛と二次痛、外側系と内側系って、何だ?】痛みのしくみ⑪をご覧下さいね。
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