軟骨すり減り、神経圧迫、半月板損傷と、股関節、腰、膝の痛みとの嘘

最初に断言してしまいます。

軟骨がすり減っても、神経が圧迫されても、半月板がすり減ったり損傷したりしても、痛みが出ることは、まずありません!!

軟骨のすり減り、神経の圧迫、半月板損傷、半月板のすり減り、これらは、股関節、腰、膝の痛みの原因として、良く言われていることです。

しかし、記事「股関節、腰、膝の痛み、たった3つの基本的な原因と根本的なメカニズム」などでお話ししているように、痛みのメカニズムに照らし合わせると、これらによって痛みが出ないことは、明らかです(半月板については、損傷した場所によっては痛みが出る可能性はあります)。

痛みは、神経の先端にある侵害受容器が、侵害刺激をキャッチして、その刺激が脳に伝わることで生じます。

これが痛みの基本的なメカニズムです。

つまり、痛みが始まる場所は、侵害受容器のあるところなのです。

逆に言えば、侵害受容器のないところでは、痛みは始まらないのです。

このことが、非常に重要なことなのです。

以下、関節軟骨、神経、半月板それぞれについて、お話ししていきます。

1.関節軟骨のすり減りについて

関節軟骨には、侵害受容器はありません。

ですので、関節軟骨がすり減っても、痛みが出ることはありません。

これが、事実です。

ただ、すり減って分離した関節軟骨の破片が、関節内にある滑膜を(関節包の内側)傷つけ、炎症が発生した場合は、その炎症の痛みが出る可能性はあります。

この場合、自然治癒力が高ければ、患部を安静にしておけば炎症は治り、痛みも消えていきます。

自然治癒力が高くなくても、患部を安静にしつつ自然治癒力を高めていけば、炎症は治り、痛みも消えていきます。

一方、自然治癒力が低いままだったり、患部を安静にせず激しく動かしたり、力を加えたりしてれば、いつまで経っても炎症は治まらず、痛みも出続けていきます。

以上のことから、関節軟骨がすり減ったぐらいで手術をする意味は、ほとんどないと思います。

もし滑膜が炎症を起こしているのであれば、自然治癒力を高めて患部を安静にしていれば、炎症は治まっていき、痛みは消えていきます。

2.神経の圧迫について

神経の片方の先端には、侵害受容器がありますが、それ以外にはありません。

したがって、神経の途中を圧迫されても、痛みが出ることはありません。

これを裏付けるデータも存在しています。

例えば、1990年に報告された、海外での調査があります。

それは、痛みのない健康な人の、腰のMRI画像検査についてのもので、以下の結果が報告されました(下グラフ参照)。

長谷川淳史:腰痛ガイドブック-根拠に基づく治療戦略,春秋社.2009.

痛みがないのに椎間板ヘルニアだった人(グラフの灰色):

・20~50歳代では約21%

・60歳以上では約36%

痛みがないのに脊柱管狭窄症と診断されるレベルの脊柱管の狭窄があった人(グラフの黄色):

・60歳以上では約21%

つまり、20~50歳代では、5人に1人が、60歳以上では、3人に1人が、椎間板ヘルニアがあるにも関わらず、痛みがなかったのです!!

60歳以上では、5人に1人は脊柱管の狭窄があるにも関わらず、痛みがなかったのです!!

また、現在の日本の痛み研究の第一人者である、愛知医科大学の牛田享宏教授は、アメリカ留学中に、マウスを使った実験で、神経を圧迫しても痛みが出ないことを、確認したそうです。そして、神経を圧迫すると、神経を伝わる刺激がそこで遮断されて、痛みを感じなくなることを、確認したそうです。

以上のことから、「神経の圧迫は、痛みの原因とはならない」ということは、間違いなさそうです。

ちなみに、詳細は省きますが、痛み(侵害刺激)を伝える神経(一次侵害受容ニューロン)が、途中で切断されたり、損傷されたりすると、侵害受容器以外のところから刺激を受け取ることがあり、その場合は痛みが出ます。

ただ、椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症によって、神経が切断されたり損傷されることは、まずないと思います。

なぜなら、ヘルニアで神経を圧迫する髄核はとても軟らかいものですし、脊柱管の中にある神経はまとめて膜(硬膜)で覆われているからです。

したがって、ヘルニアや脊柱管の狭窄による神経圧迫で、神経が切断されたり損傷されるとは、考えにくいです。

3.半月板のすり減りや損傷について

半月板の内側2/3は、侵害受容器がありません。

ですので、そこがすり減ったり、損傷されたりしても、痛みは出ません。

一方、半月板の外側1/3には、侵害受容器があります。

ですので、そこがすり減ったり、損傷されたりすると、痛みが出る可能性があります。

しかしそこには血管があるので、すり減りや損傷後には炎症が発生し、「1.関節軟骨のすり減りについて」でお話しした滑膜の炎症と同様に、自然治癒力と患部の安静によって、痛みは治っていきます。

半月板については、理論上は以上の内容になりますが、実際的には、半月板がすり減っていても、損傷していても、痛みがないというデータもあります。

例えば、日本整形外科学会が刊行している雑誌である「日整会誌」に、2002年に報告されたデータがあります(日整会誌76)。

それは、痛みのない健康な人の、膝のMRI画像検査についてのもので、以下の結果が報告されました(下グラフ参照)。

痛みがないのに内側半月板後節に変性があった人:

・13~76歳では18.3%

痛みがないのに内側半月板後節に断裂があった人:

・60歳以上では41.7%

つまり、13~76歳では、5人に1人ほどは、半月板が変性していたにも関わらず痛みがなかったのです!!

60歳以上では、5人に2人は半月板が断裂していたにも関わらず痛みがなかったのです!!

これは、「半月板のすり減りや損傷は、痛みの原因とはならない」ということを、示唆しています。

まとめ

関節軟骨がすり減っても、神経が圧迫されても、半月板が損傷したりすり減ったりしても、痛みのメカニズムや実際的なデータから、痛みが出ることはないと考えられます。

これらそのものが、股関節、腰、膝の痛みの原因になることはないと考えられます。

そして、これらに付随して起こる可能性がある炎症などの痛みは、自然治癒力を高めて患部を安静にしておけば、次第に炎症は治まり、痛みも消えていきます。

ですので、それらに対して手術をする必要は、ほとんどないと思います。

「軟骨がすり減ってる」、「神経が圧迫されている」、「半月板がすり減っている」、「半月板が損傷している」、と言われても、気にしないようにしましょうね。(^^)/

解剖図:Michael Schünke 他:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,医学書院.2007.


股関節、腰、膝の痛みセラピー
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ふなこしのりひろ